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平成25年3月7日 東京地裁判決

糖尿病で意識を失い交通事故を起こした事例の判決です。

*事故当時、Ⅰ型糖尿病に基づく無自覚性低血糖に起因する意識障害に陥り、自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態だった被告が、①自賠法4条は民法713条を準用しているから自賠法3条の運行供用者責任を負わない、また②責任無能力に陥ったことについて故意・過失がないから、民法713条但し書の適用はなく、民法709条に基づく損害賠償責任も負わないと争った事案。

*判旨

(1) 民法713条は、自賠法3条の運行供用者責任には適用されず、被告は自賠法3条に基づく責任を負う。

(2) 被告は、インシュリン投与後等には血糖値が下がることを知っていた上、最近では頻繁に低血糖状態になり、実際に警告症状がないまま低血糖状態に陥ったこともあり、自動車の運転中に低血糖になったこともあったのであるから、自動車の運転などといった他人に危害を加えることにもなり得る危険な行動をする際には、低血糖状態に陥ることを回避するよう血糖値を管理すべき義務があるにもかかわらず、事故当日、夕食前に即効型インシュリンを自己注射し、スポーツクラブで運動をし、低血糖を招きやすい状態であったにもかかわらず、血糖値も測定せず、糖分補給もしないまま血糖値管理を怠って1人で自動車を運転して無自覚性低血糖による意識障害に陥ったものであるから、民法713条ただし書の過失があり、被告は物損についても民法709条に基づく責任を負う。

てんかんによる発作での交通事故、危険ドラッグ吸引後の事故などに影響がありそうな判決である。

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